中学校のときの同級生の伊藤くんが交通事故にあって、植物状態になってしまった。そのニュースはすぐにメールで回ってきた。 彼の家庭は複雑で、彼には両親がいなかった。お父さんはひとりっ子の彼をお父さんの両親の元に置いていって別の女性と結婚し、そのあと行方をくらましたそうだ。 お母さんは彼を産んで数年後に若くして亡くなっていた。 だからずっと父方のおじいさんとおばあさんが彼を育てていた。そのおふたりもそんなに裕福ではなかったので、脳死と診断された彼を長い期間病院に置いておくお金はない。 友人、知人、親戚にひととおりゆっくりと会ってもらって、そのあとで人工呼吸器を外そうと彼らは決めたそうだ。 その知らせを聞いて、とても気が重かったけれど会いに行くことにした。 懐かしいクラスメートのいろんな人たちからみんなで行こうと誘われたのだが、私は断った。 「みんなビビってるんだろ、他の人といっしょに行って気を紛