米国に次ぐ世界第二の経済体となった中国。図体の大きさだけではなく、画期的なイノベーションを生み出すなど、創造力の面でも今や世界をリードする存在だ。10年前は「遅れた途上国」だった中国が、なぜ瞬く間に「S級国家」へと変貌したのか。長年中国と関わり続けている気鋭の論者に、社会、政治、技術の各方面から分析してもらった。 「自国製品はB級」の認識を変えた2つの政策 「メイドインチャイナ」は品質が悪い。そう思っていたのは日本人だけではない。当の中国人自身が中国製品を信用していなかった。外国メーカーの製品のほうが、中国メーカーの製品よりはいいと考えていたわけだ。 しかし外国メーカーの製品だったら信じられるかというと、これもまた中国人は警戒していた。当時中国人のあいだでは「メーカーは一流製品を日本へ、二流製品を欧米へ、三流製品を中国へ出荷する」といったうわさが信じられていた。中国に流通する製品は、外国メ