吉川弘文館「歴史文化ライブラリー」の一冊、『特務機関の謀略 諜報とインパール作戦』(山本武利著)のタイトル(というか副題)が目について買ってみた。ビルマ・インド方面で謀略活動を行い、チャンドラ・ボースと日本との連絡・調整役をも務めた「光機関」に焦点を当てた研究。個々には興味深い点も多々あるのだが(例えば英軍の捕虜となった日本軍下級将校の、上層部への呪詛に満ちた陳述書の引用など)、一冊の本としてみたばあいに「焦点がうまくあっていない」という印象を受ける。素人なりの印象では、光機関の活動をインパール作戦との関わりを軸として記述するより、むしろ「大東亜戦争」という(日本の主観にとっても)本音と単なる口実が入り混じった戦争というより大きな枠組みのなかに位置づけた方がよかったのではないだろうか。 冒頭まず連合軍による日本陸軍の暗号解読作戦が紹介される。連合国によって日本の暗号が解読されていた…という