2016シーズン、J3に降格した大分トリニータの監督に就任した片野坂知宏。3年で2度の昇格を果たし、J1の舞台でも確固たるスタイルで存在感を発揮した。“カタノサッカー”はどのように発展を続け、そしてJ1の舞台で戦い続けるには何が足りなかったのか。このチームを追い続けたひぐらしひなつさんに総括してもらおう。 前編では、J1経験クラブ初のJ3降格からの華麗なる逆転劇、J3とJ2を席巻した就任3年間の“カタノサッカー草創期”を振り返る。 今季最後のリーグ戦、J1第38節。日立台で柏レイソルと対戦した大分トリニータの決勝点となった3点目は、実にスペクタクルでエキサイティングだった。 前線で駆け引きする野嶽惇也へと下田北斗が最後尾から送った長いフィードは相手DFに頭で跳ね返されたが、それを拾った三竿雄斗が勢いよくゴール方向へと持ち上がる。相手守備陣が寄せてきたところで後ろからサポートに来た町田也真人