株式会社 日経BP 〒105-8308 東京都港区虎ノ門4丁目3番12号 →GoogleMapでみる <最寄り駅> 東京メトロ日比谷線「神谷町駅」4b出口より徒歩5分 東京メトロ南北線 「六本木一丁目駅」泉ガーデン出口より徒歩7分
「サマータイム」という言葉を聞いたことのある読者は少なくないと思う。これは昼間の長い夏季に時計を1時間早める習わしのことで、欧米を中心に世界のいろいろな国々で導入されている。夏は日が昇るのが早いので、時計もその分早く進めてアフター5を有意義に過ごそうというわけだ。 ここ数年、政財界を中心にたびたび「日本でもサマータイムの導入を」という話題が上がり、そしてその都度立ち消えになっている。最近では今年(2008年)6月9日、自民党が政調全体会議を開いた。サマータイム法案の扱いを谷垣禎一政調会長に一任することに決めたのである。これはもう「日本でサマータイムは実現しない」とイコールだ。 何しろ谷垣氏といえば、大蔵省時代から「(財政再建と増税以外は)ミスターやらない派」の名前をほしいままにしていた人物である。彼に一任となれば、サマータイムが導入されることはないと見たほうが正しい。せっかくサマータイ
京都府の精華町と木津川市の境界に、「私のしごと館」という職業訓練施設がある。関西文化学術研究都市(学研都市)の精華・西木津地区にある独立行政法人「雇用・能力開発機構」が運営しているものだ。 交通はかなり不便で、大阪、京都の中心部から、どちらも1時間くらいかかる。東京でいえば、筑波学園都市のような場所に建っているものと考えてもらえればいい。 この「私のしごと館」は、明らかなバブルの遺産である。2003年に581億円をかけて建設されたもので、全長200メートル、3万5000平方メートルという巨大な建造物。わたしは初めてこの建物を見たときに、すぐに戦艦大和を連想した。 ご多分にもれず、この「私のしごと館」は大幅な赤字を出しており、その額は毎年十数億円。2006年度決算では14億7700万円であった。運営交付金は事業主負担のみの雇用保険料、いわゆる「雇用保険2事業」から出ているが、これをどう
「H5N1型ウイルス襲来」 岡田晴恵著 角川SSC新書 角川SSコミュニケーションズ 2007年11月発行 756円(税込み) インフルエンザを「高い熱が出る風邪の一種」と思っている人は多いだろう。「確かにかかると大変だ。数日間は高熱に呻吟(しんぎん)することになるし、体の節々が痛くてたまらなくなる。が、命にかかわるような病気ではない。毎年冬になると流行するが、運が悪ければかかる程度の病気だろう。春になればいつのまにか消えているものだ」―― そんな風に思っているのではないか。 そもそもインフルエンザワクチンは任意接種だし、効かないという話だってあるではないか。身近にもワクチン接種を受けたのにインフルエンザにかかった人がいるという人も少なからずいるはずである。 ここ数年、「鳥インフルエンザ」という言葉がメディアをにぎわせている。鳥インフルエンザというからには、鳥がかか
第121回 一見インフレの現在の状況は、デフレである! 経済アナリスト 森永 卓郎氏 2008年2月25日 先日、ドイツ国営テレビの記者と話をする機会があった。そこで話題になったのは、世の中の大半が、インフレとデフレの判断について誤解をしているという点である。 私は以前から「デフレだから金融緩和をしなくてはいけない」と主張し続けている。ところが、周囲の人たちは「でも消費者物価は上がっているじゃないですか。これはインフレでしょう」と笑う。確かに、1月25日に発表された昨年12月の全国消費者物価指数は、前年同月比で0.8%も上昇した。 しかし、インフレ・デフレの判断は消費者物価で行なってはならないのだ。なぜかといえば、現在の物価上昇は、需給が逼迫したことによる上昇ではないからである。けっして景気が過熱しているわけではない。 ただ単に、原油や穀物などの輸入物価が上昇したことによるコストア
食の安全に揺れる中国 環境とともに問題視されているのが、食の安全だ。 先に挙げた太湖は上海カニの名所なのだが、あのカニは、汚染された水の中で何を食べて育っているのか。正直いってわたしも不安を覚える。他にも最近は、中国の食の安全に関するニュースが毎日のように報道されている。後でねつ造だったと報道されたダンボール入りの肉まん、有害物質の入ったペットフード、偽物の塩、廃棄された油から作った食用油‥‥。食品ではないが有害物質の入った歯磨き粉、偽物の医薬品というものもあった。 それに、今回問題になったもの以外にも、注意しておきたいものもある。例えばフグだ。フグは天然物だと浜値でキロ1万円もする。ところが養殖物となるとキロ2000円まで落ちてしまう。日本では、出荷までにかかるえさ代が2000円近くになるので、ほとんどもうからないという状況だ。しかし中国の養殖物ならキロ1000円で手に入るのだ。
日本株の下落が止まらない。1月18日の日経平均株価の終値は1万3861円29銭。前日比77円84銭(0.56%)高となったとはいえ、昨年末に比べると1446円も下げてしまった。21日はさらに落ち、午前終値は1万3395円28銭である。 株下落の原因は、米国の失業率が予想以上となり景気後退懸念があること。そして、サブプライムローン問題が米国の金融機関に予想以上の赤字をもたらしたことが挙げられる。さらに、そのなかで円高が進行しているために、日本にとってダブルパンチとなったわけだ。このままでは日本経済はダメになるという連想が働いたのは、確かに間違いではない。 しかし、納得できないこともある。本家の米国のダウが、この間に8.8%の下落率であったのに対して、日本株はそれを上回る10%以上の下落率となっていることだ。 まさに日本経済への悲観が極まった形といえよう。現に、メディアに登場する評論家た
ハイビジョン月面画像をネット公開しなかったNHK 9月14日に打ち上げられた日本の月探査機「かぐや」は、月周回軌道上で、順調に科学観測の準備を進めている。日本放送協会(NHK)が搭載したハイビジョンカメラは、早速月面の撮影を開始し、11月7日には最初の月面画像が、次いで11月16日には、月の際から昇る地球と、月の際に沈む地球のハイビジョン映像が公開された。かつてない高精細の月面の画像であり、一般に与えたショックは、アポロ8号が撮影した有名な「地球の出」にも比肩するするものだった。 1968年にアポロ8号が撮影した「地球の出」(Photo by NASA:上)と、この11月に月探査機「かぐや」が取得した「地球の出」(中)と「地球の入り」(下)のハイビジョン動画像からのキャプチャー(Photo by JAXA/NHK)。NASAの画像は、教育用途、報道用途、非営利用途で出典を明記することで
第107回 食料品値上げ、狂乱物価より心配なこと 経済アナリスト 森永 卓郎氏 2007年11月12日 食料品の値上げ発表が相次いでいる。小麦を原材料とするパンやめん類などは、国際相場の高騰によって政府売り渡し価格が10%引き上げられたことから、次々に値上げが発表された。 原材料の値上げは小麦だけではない。油脂の価格上昇で、食用油、マヨネーズ、カレーのルーが値上げ。糖類の値上がりで菓子類の内容量が減らされている。さらに、乳製品、包装材料の値上がりによって、ありとあらゆる食料品が値上げされたか、近いうちの値上げが予定されている。 食料品以外にも、原油価格の上昇の影響で、ガソリンやプラスチックの価格が軒並み上昇。生活必需品の値上がりもじわじわと進んでいる。さらには、とうもろこしを原料とするバイオ燃料の需要拡大を受けて、家畜飼料の値上げが進み、海外で作付面積の減った大豆価格も上がっている。
タダは国を滅ぼす〜高速道路も年金もタダにできるわけない 最近、タダ(無料)をありがたがる風潮が高まっているのを感じる。「なんでもタダがいい」といった考えに染まると、この国は滅んでしまうのではないだろうか。今回は、いくつか事例をあげながら、タダが蔓延する風潮について考えてみたい。 杉並区では、子育て中の親がコンサートをタダで鑑賞できる 杉並区は子育て中の区民に対して、ベビーシッターを雇ったり、コンサートを鑑賞するのに利用できる金券「子育て応援券」を配布している。金額は、0〜2歳児の子供1人あたり年6万円、3〜5歳児の子供は年3万円だ。利用率は9割近くに達しているとのことだ。 この金券のコストは税金で賄っている。子育ての応援が目的ならば、保育園を、働く女性により使いやすくするなどの政策で対応するのがスジだろう。コンサート鑑賞などの“気分転換料”を親に直接支払う、というのは話が違う。
東京の明治通りの地下では、ある工事が追い込みに入っている。東京に住んでいる人ならば耳にしたことはあるだろうが、東京メトロ最後の新線と言われる「副都心線」の工事である。 副都心線は、その名の通り副都心である池袋、新宿、渋谷の三つの町を結ぶものだ。新しく開通する区間は、ほぼ明治通りに沿っており、池袋、雑司が谷、西早稲田、東新宿、新宿三丁目、北参道、明治神宮前、渋谷という8駅が設置される。このうちの池袋は、既に有楽町線の新線池袋として営業している駅が使われる。 開通当初から西武池袋線、東武東上線と相互乗り入れが行われ、将来的には渋谷駅で東急東横線、さらにみなとみらい線へも乗り入れる予定である。埼玉、東京、神奈川を結ぶ大動脈が出来るわけだ。 開通は2008年6月の予定だが、これは単なる地下鉄の1路線の開通ではないようにわたしには思えるのだ。大げさに言えば、副都心線の開通が、東京の町を大きく変
7月の参議院選挙で自民党が惨敗した大きな原因の一つに、格差問題があることは誰もが指摘しているところだ。安倍総理自身も、8月27日の改造内閣発足の記者会見で、参議院選挙の敗因に触れた。 「中央と地方に存在する格差問題について、政治が配慮すべきだという教訓を得た」。 このように述べて、格差是正に取り組む方針を示したのである。 その意気込みはよしとしよう。だが本当に、政府は格差を是正できるのか。そこが大きな問題である。 ここで頭に入れておいてほしいのは、構造改革路線の中で拡大した格差というのは、正社員同士の間に生じた格差ではない。確かに、若年層の一部を見ると、正社員間にも格差が生じているものの、全体的に見るとまだまだ大きいとはいえない。 問題は、正社員と非正社員の間に存在する格差である。この格差はもともと存在していたのだが、昨今の非正社員の急増によって表面化したというのが正確なところだ
都営地下鉄と東京メトロの一体化・24時間運行を考える 「目からウロコ」の第2回で羽田空港の24時間稼働が必要な理由を説いた。そのときに、周辺のインフラ整備として、鉄道の24時間運行にも触れた。今回はその意義についてさらに掘り下げたいと思う。 羽田空港の24時間稼働を実現させるには、空港までの移動手段である地下鉄やJR、私鉄の24時間運行も必要になる。いきなりすべての路線、会社で24時間運行という話ではないが、運転時間の延長などの協力がなければ羽田空港の24時間稼働は実現できない。 ニューヨークの地下鉄は既に24時間運行だ。日本の鉄道も、大みそかから元旦にかけては終夜運転を実施している。24時間運行することに、技術的な問題はない。 鉄道の運行時間に関して、興味深い事実を示そう。現在の山手線の始発は4時26分。ストップするのは深夜1時14分だ。しかし、昭和5年(1930年)の山手線の始
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