「被告人に無罪を言い渡した原判決は、刑法の解釈を誤り、事実誤認をしたもの」――仮想通貨のマイニングツール「Coinhive」を、閲覧者に無断で自身のWebサイトに設置したとして、不正指令電磁的記録保管罪に問われた男性の控訴審判決で、東京地裁はそのように判断した。高裁は一審の無罪判決を破棄し、罰金10万円の有罪とした。なぜ一審の無罪から、控訴審では有罪に覆ったのか――。 争点になった「反意図性」と「不正性」 Coinhiveは、専用のJavaScriptコードをWebサイトに埋め込むと、閲覧者のPCのCPUパワーを活用し、マイニングを行う仕組み。マイニングによる利益はサイト運営者とCoinhiveの開発元が分け合い、閲覧者は受け取れなかった。 男性は2017年秋ごろ、広告に代わるサイト収益化の手法として、自身のサイトにCoinhiveを1カ月間ほど設置していた。設置した際、サイト内には閲覧者