エンタルピー(英: enthalpy)とは、熱力学における示量性状態量のひとつである。熱含量(ねつがんりょう、英: heat content)とも[1]。エンタルピーはエネルギーの次元をもち、物質の発熱・吸熱挙動にかかわる状態量である。等圧条件下にある系が発熱して外部に熱を出すとエンタルピーが下がり、吸熱して外部より熱を受け取るとエンタルピーが上がる。 名称はカメルリング・オネスによる[2]。
グラフ理論における「グラフ」というのはいくつかの点をいくつかの線でつないだモノである。 普通はどの点とどの点が結ばれてるかのみに着目しどのように結ばれているかは問わないことが多いが、幾何学的グラフ理論では点集合としての(位相的)図形として結ばれ方も重視する。 この2つの見方 ― 「システム」としての見方と「図形」としての見方 ― が可能なことからグラフは一見単純ではあるが奥深い数学的な対象となっている。 グラフ理論は身近に存在する。 たとえば我々はいたるところで「植木算」のお世話になっているが、植木算の中にグラフ理論の主要な考えの発端が見られる。 この講義ではグラフ理論の応用数学的な側面よりも純粋数学的な側面に焦点を絞った。 形式的な記述でわかりにくい部分も図を見ればわかってしまうことが多いように図をたくさん入れておいた。 予備知識はほとんど不要であるが、ベクトル空間やポセッ
協力ゲームと非協力ゲームの区別はジョン・ナッシュが1951年に発表した「非協力ゲーム[33]」という論文の中で初めて定義された[34][35][36]。ナッシュの定義によれば、協力ゲームにおいてプレイヤー間のコミュニケーションが可能でありその結果生じた合意が拘束力を持つのに対して、非協力ゲームにおいてはプレイヤーがコミュニケーションをとることが出来ず合意は拘束力を持たない[34]。このように当初はプレイヤー間のコミュニケーションと拘束力のある合意(英: enforceable agreement)の有無によって協力ゲームと非協力ゲームとが区別されていたが、非協力ゲームの研究が進展するにつれてこのような区別は不十分なものとなった。すなわち、1970年代に非協力ゲームを「展開形ゲーム」で表現する理論が発達したことによって、非協力ゲームにおけるプレイヤー間のコミュニケーションが情報集合として記述
カオス性を持つローレンツ方程式の解軌道 カオス理論(カオスりろん、英: chaos theory、独: Chaosforschung、仏: théorie du chaos)とは、力学系の一部に見られる、数的誤差により予測できないとされている複雑な様子を示す現象を扱う理論である。カオス力学ともいう[1][2]。 ここで言う予測できないとは、決してランダムということではない。その振る舞いは決定論的法則に従うものの、積分法による解が得られないため、その未来(および過去)の振る舞いを知るには数値解析を用いざるを得ない。しかし、初期値鋭敏性ゆえに、ある時点における無限の精度の情報が必要であるうえ、(コンピューターでは無限桁を扱えないため必然的に発生する)数値解析の過程での誤差によっても、得られる値と真の値とのずれが増幅される。そのため予測が事実上不可能という意味である。 ある初期状態が与えられれば
複雑系(ふくざつけい、英: complex system)とは、相互に関連する複数の要因が合わさって全体としてなんらかの性質(あるいはそういった性質から導かれる振る舞い)を見せる系であって、しかしその全体としての挙動は個々の要因や部分からは明らかでないようなものをいう[1]。 これらは狭い範囲かつ短期の予測は経験的要素から不可能ではないが、その予測の裏付けをより基本的な法則に還元して理解する(還元主義)のは困難である。系の持つ複雑性には非組織的複雑性と組織的複雑性の二つの種類がある[2]。これらの区別は本質的に、要因の多さに起因するものを「組織化されていない」(disorganized) といい、対象とする系が(場合によってはきわめて限定的な要因しか持たないかもしれないが)創発性を示すことを「組織化された」(organized) と言っているものである。 複雑系は決して珍しいシステムという
多世界解釈(たせかいかいしゃく、英: many-worlds interpretation; MWI)とは、量子力学の観測問題における解釈の一つである。この解釈では宇宙の波動関数を実在のものとみなし、波束の収縮が生じない。そのかわり重ね合わせ状態が干渉性を失うことで、異なる世界に分岐していくと考える。 プリンストン大学の大学院生であったヒュー・エヴェレット3世が1957年に提唱した定式を元に、デコヒーレンスなどの概念が追加されて成立した。 量子力学において波動関数はシュレディンガー方程式に従い、決定論的な時間発展をする。標準解釈であるコペンハーゲン解釈では、観測により波動関数が収縮することで、確率的な結果が現れる。波動関数の収縮はシュレディンガー方程式には従わない。 一方で多世界解釈では、波動関数の収縮は起こらず、常にシュレディンガー方程式が成り立つと考える。シュレディンガー方程式の時間発
この項目では、思考実験について説明しています。Brian the Sunのアルバムについては「シュレディンガーの猫 (Brian the Sunのアルバム)」をご覧ください。 シュレーディンガーの猫(シュレーディンガーのねこ、シュレディンガーの猫とも、英: Schrödinger's cat)は、1935年にオーストリアの物理学者エルヴィン・シュレーディンガーが発表した、猫を使った思考実験。この思考実験は、物理学的実在の量子力学的記述が不完全であると説明するために用いられた。 シュレーディンガーは、EPR論文を補足する論文の中で、観測されない限り重ね合わせであるとして記述すると、巨視系の状態が"状態見分けの原理"(巨視的な観測をすれば区別できる巨視系の諸状態は、観測の有無にかかわらず区別できるとする原理)を満たさないことを示す具体例として、この思考実験を用いた[1]。 ニュートン以来の古典
ラプラスの悪魔(ラプラスのあくま、英: Laplace's demon)とは、主に近世・近代の物理学分野で、因果律に基づいて未来の決定性を論じる時に仮想された超越的存在の概念。「ある時点において作用している全ての力学的・物理的な状態を完全に把握・解析する能力を持つがゆえに、未来を含む宇宙の全運動までも確定的に知りえる[1]」という超人間的知性のこと。フランスの数学者、ピエール=シモン・ラプラスによって提唱された。ラプラスの魔物あるいはラプラスの魔とも呼ばれる。 学問の発達により、近世・近代には様々な自然現象がニュートン力学(古典物理学)で説明できるようになった。現象のメカニズムが知られると同時に、「原因によって結果は一義的[2]に導かれる」という因果律や、「全ての出来事はそれ以前の出来事のみによって決定される」といった決定論の考えを抱く研究者も現れるようになった。その一人が、18世紀の数学
マクスウェルの悪魔(マクスウェルのあくま、Maxwell's demon)とは、1867年ごろ、スコットランドの物理学者ジェームズ・クラーク・マクスウェルが提唱した思考実験、ないしその実験で想定される架空の、働く存在である。マクスウェルの魔、マクスウェルの魔物、マクスウェルのデーモンなどともいう。 分子の動きを観察できる架空の悪魔を想定することによって、熱力学第二法則で禁じられたエントロピーの減少が可能であるとした。 熱力学の根幹に突き付けられたこの難問は1980年代に入ってようやく一応の解決を見た。 マクスウェルが考えた仮想的な実験内容とは以下のようである(Theory of Heat、1872年)。 マクスウェルの悪魔。分子を観察できる悪魔は仕事をすることなしに温度差を作り出せるようにみえる。 均一な温度の気体で満たされた容器を用意する。 このとき温度は均一でも個々の分子の速度は決して
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