東京・渋谷の東急百貨店本店、地下食品売り場の米売り場、「米よし」の店頭にその米は売られている。2坪の店舗に並ぶ10産地の銘柄米のなかで最も値段が高く、5キロ1万4700円。2006(平成18)年度産の小売米としてはおそらく日本一高い米。米櫃に立て掛けられた細長い白木の板には、「十日町市松之山 戸邊秀治作」と墨書され、2行目には「無農薬、無肥料、天日干し」と謳ってある。 脱サラ後、米づくり その米を作った戸邊秀治さんは1952(昭和27)年1月生まれの55歳。東京理科大学を卒業後、関東自動車工業に勤務、30歳で脱サラ、自給自足的生活を実践してきた。福島県耶麻郡旧山都町をはじめ、茨城などで田舎暮らしを続け、2002(平成14)年、新潟県十日町市松之山に田畑付きの家を350万円で手に入れた。自然農法でコシヒカリを作り、自給自足にちかい生活をしている。家族は7人。プロ棋士になった21歳の長男と次男