東九州自動車道の北九州市から宮崎市まで約320キロの開通に向け、工事が着々と進んでいる。年度末にかけて大分などで開通が相次ぎ、残すは地主の反対で用地が確保できない福岡県豊前市のミカン園の区間だけとなる。開通は沿線住民の長年の悲願。土地は強制収用手続きが進み、ミカン農家の反対運動は岐路に立たされている。 豊前市の国道10号から南西に約1キロ。山の緑を削るように南北から延びてきた新しい道路用地が突然、途切れる箇所がある。わずか約220メートル。建設に反対する岡本栄一さん(68)のミカン園が広がる。 岡本さんは1999年、父の代からの12ヘクタールのミカン園が高速道建設で分断されることを知り、事業の不当性を訴えて反対運動を続けてきた。2001年には「現行ルートは割高。山側を通すルートの方が環境が守られ、費用も半額以下」と代替案を示した。 それから13年。事業認定取り消しを求めた訴訟は今も続くが、