上記はマイクロな視点(つまり個々の家計がベーシックインカムにどのように反応するかという視点)による研究であるが、マクロな視点からの研究はさらに不足している。ベーシックインカムを導入すれば、その導入の仕方によっては、政府の歳入歳出構造に大きな変化が生じることになる。 たとえば、ベーシックインカムのために消費税を10%増税したと仮定すれば、これだけの規模の増税であれば、たとえその税収をベーシックインカムとして国民に即座に返すとしても、マクロ経済のパフォーマンスに多大な影響を与えることは間違いない。このような影響については、精緻なシミュレーション分析の蓄積を通して、理解を深めておく必要がある。しかし、実はこのような研究はまだ非常に数少ない*5。ベーシックインカムが本格的な分析対象となったのが、ここ最近のことであるからである。 このように事前の研究の裏付けが少ないままに、本邦におけるベーシックイン