現代は日本史で言えば、一体どの時代に似ているのだろうか。意外にも、平成の世=平安時代という識者が多いのに気づく。 例えば、大塚ひかりは『感情を出せない源氏の人びと』等の著書で、平安時代の貴族社会に蔓延していた宿命主義、恋愛至上主義、母権主義(社会)が現代社会の風潮と類似していることを指摘している。また、そんな環境の中、平安の人々が、光源氏のように感情を抑制することを一つの「たしなみ」としたこと、そして、その抑欝感が一方で怨霊信仰を呼び寄せたことを、現代人の多くが心の病にかかっていることとパラレルなものとして論じている。卓見である。 また、かつて、国際政治学者の高坂正堯は自衛隊に関して「自衛隊は検非違使だ」と言っていた。 つまり、正式な律令の令制に規定の無い官職という意味だ。 平安時代の初期、桓武天皇は大幅に行政改革を行い、軍隊までをも無くしてしまった。 そして、その後、嵯峨天皇の治世に治安