歴史を見渡すと、諸民族の興亡〔こうぼう〕や王朝の交代が頻繁で、人の世の移り変わりは諸行無常、定《さだ》めなきことが定めであるようにも見える。それでも歴史書を紐解《ひもと》き、国々の変遷をやや仔細《しさい》に見るならば、定めなき定めには、定めないなりの何か、定めとまでは言わずとも、類型や典型といったものがあることに、気づかざるをえない。 国は興《おこ》り国は亡《ほろ》ぶ。その間200年300年、通常長くて500年。歴史に名を残すほどの民族は大をなしてのち、一度傾《かたむ》きかけた国を再興させ大帝国を築いてから、やがて黄昏《たそがれ》の夕陽のごとく緩やかに傾いていく。 なぜ栄えた国が永続することなく傾いていくのかというのは、古来からの多くの史書の議論の的であって、これは当然歴史家に限らず、歴史に学んで自らの行く末を考えようとする万人の関心事である。 個々の事象の連鎖を超えた、国家興亡《こうぼう