佐々木健一『作品の哲学』 東京大学出版会、1985 ■ 感想 この本がすごくおもしろかった。 今後「おすすめの美学書を一冊」と誰かに聞かれたら(そんな機会はまずないのだが)、これを薦めることにしたい。 もちろん今から見ると議論が古い部分もあり、細かいことを言い出せばいろいろ気になる点もある。だいたい目次が悪い。結論が「愛のトポスとしての作品」かよ! そんなこと言われても! などと思ってしまう。 しかし、現在でも十分通用する鋭い指摘が多かった。対象を真摯にとらえるってこういうことかと、いささか感動したりもした。 何より、博学な著者なので、論旨に納得できなくても基本的に読んでるだけで勉強になるのだった。 ■ 見どころ 第五章「作品のア・プリオリとしての解釈学的意志」についてだけ触れる。この章は大変おもしろかった。 p177-178 (エルナニは死んだ【とのことです】というセリフをひいて) この