もはや、「オルタナ・カントリー」という枠の中で、ウィルコの音楽性を形容するのは、あまりにも野暮な行為だが、今ではほとんど死語となったこの呼称の発信元を辿れば、ウィルコ、あるいは、前身バンドのアンクル・テュペロの音楽的な懐の深さを知ることができるのではないだろうか。カレッジ・シーン興隆期のいちパンク・バンドとして、そのキャリアをスタートさせたジェフ・トゥイーディとフェイ・ファーラーによるアンクル・テュペロが、若者に淘汰されようとしていたカントリー・ミュージックを融合要素に取り込もうとした、半ば強引とも捉えられがちな実験精神や柔軟な発想は、ウィルコが、現在のアメリカン・ロック・シーンの代表的存在となるまでの道程に必要不可欠なものだったということをしっかりと頭に叩き込んでおきたい。ましてや、パンクとカントリーは、”水と油”だなんて元々誰も言ってないしね。「オルタナティヴ」な何某それは、「はいはい