2006年採用は、各産業界から「厳しい」「採れない」という声を聞く。ゆるやかな景気回復基調の中で、雇用市場の流れは、雇用の余剰を改善する中高年層のリストラ、正規社員から非正規社員へのリプレース、コア業務以外のアウトソース化などが一通り終了し、そのゆり戻しがこの一年ほどの間に一挙に押し寄せたという印象がある。 引き金となったのは、製造業の回復。景気回復の波は各分野に広がり、人員の補充が余儀なくされ、求人数が拡大した。有効求人倍率で見ると、2001年からゆるやかな上昇が続き、2005年7月現在で、全国平均0.94倍、自動車産業の盛んな愛知県に至っては1.72倍まで上昇した。新卒市場は、中途市場と異なり、景気の波に左右されにくいと言われているが、2006年度採用では、新卒採用を復活させた企業や新卒採用を開始した企業が増えた。バブル崩壊後の非正規社員化の流れは、景気回復によって正規社員化へとシフ

留学生の就業実習も仕組みが整いつつある。 中国・大連出身の留学生、曲小梅さん（２５）は通訳になる夢を持つ。高校卒業後、地元の日本語学校に１年、来日して２年、日本語を勉強して高松市の短大に入学、今春、大阪商業大学（大阪府東大阪市）に編入した。 日本での就職を大学に相談すると、大阪府が今年からスタートさせた留学生インターンシップ（就業実習）を紹介され、先月１０日から、大阪市内の「池田金属工業」で実習を始めた。産業用の機械や装置の部品を設計、製作、加工する従業員２６人の町工場だ。 お盆を挟んで実習３日目の１７日は、曲さんの母国から届いた長さ４センチほどの工業用ミシンの部品の検査に挑戦。池田元一社長（６５）から細かく説明を受けながら、特殊な機器で、部品に開いた穴の幅や、部品の厚さを測り、設計図通りかどうか確かめた。 「みんな、ほとんどしゃべらないでまじめに仕事している」と曲さんは感心した様子。８月

学生たちは、ＮＰＯでも様々なことを学ぶ。 横浜市港北区のリサイクルショップ「ＷＥショップ　こうほく」は、アジアの人たちの生活向上と自立のための支援活動をしているＮＰＯ「ＷＥ２１ジャパン」（横浜市）が神奈川県内で展開する５６の店の一つ。普段、働いているのは女性ばかりだ。 その中に８月１２日、インターンシップ（就業実習）に取り組む明治大学大学院１年生の二木（ふたつぎ）康晴さん（２３）の姿があった。大学院では臨床社会学を研究しており、ＮＰＯは将来の就職先としての選択肢としても念頭にある。 ８月３日から２か月近く続く実習では、店舗を回ったり、倉庫で商品の仕分け作業をしたりするとともに、途上国の開発支援を行うＮＧＯ（民間活動団体）の勉強会に参加したり、ＮＰＯの運営の仕方を教わったりもしてきた。 「最も印象的なのは、運営する女性たちがいつも議論していて、どうやって組織をここまで広げてきたかが実感できる

沖縄県は、県外で就業実習する学生に助成金を出して支援する。 沖縄国際大学（沖縄県宜野湾市）３年の又吉暁子さん（２０）は、８月１９日の土曜日、那覇から羽田行きの飛行機に乗り込んだ。２１日から２週間、東京で就業実習をするためだ。実習先はＪＲ東京駅近く。結婚総合サービス会社「ワタベウェディング」（本社・京都市）の東京グランドプラザだ。 実習４日目の午前は、同プラザ副店長の西谷絵里子さん（２８）から、ウエディングドレスの種類や最近の流行など、衣装に関する知識とともに、「衣装選びは新婦の味方になること」といった接客の極意も学んだ。午後には、中国の工場から運ばれてきた新品ドレスの点検。「意外と重いです。でも引きずらないように気をつけます」とドレスを持つ手に緊張感を漂わせた。 「華やかさにあこがれる人もいるが、実際は体力も使い、来客が多い週末は目が回るほど忙しい。イメージとの落差も埋めてほしい」と人事部

３００人近い学生がパソコンに向かう「問題解決能力発掘インターンシップ」の会場では、学生同士が話すのはご法度だ 優秀な実習生に入社パスを発行する会社がある。 間仕切りのない部屋は約８５０平方メートルもある。その部屋で、３００人近い学生が１台ずつパソコンに向かっていた。聞こえるのはキーボードをたたく音やマウスを操作する音だけだ。 東京・港区が本社のＩＴ企業「ワークスアプリケーションズ」が、近くに借りたインターンシップ（就業実習）会場は静寂に支配されていた。学生同士が話すのはご法度だ。 成績優秀だと、５年ないし３年の間ならいつでも入社できるパスがもらえる。「問題解決能力発掘」と名がついた実習だけに、学生は自分との戦いを強いられた。プログラミングの入門書とネットにつながっていないパソコンだけで約１か月間、課題に取り組む。今年の第３期となる８月１日から２５日までの実習の課題は「ホテルの業務管理システ

実習生を海外に送り出し、海外から受け入れる学生団体がある。 東京都文京区役所の会議室。教育委員会の職員や区内の学校の教員を前に、８月１１日、スーツ姿の学生たちが説明を始めた。ＮＰＯ法人「アイセック・ジャパン」の「東京大学委員会」のメンバーだ。 区教委で今月１日から研修を始めるオランダの大学院生（２５）とハンガリーの大学生（２２）の２人の研修生について、関係者に理解を得るための説明会だった。 ２人は３か月間、日本に滞在し、区の教育の長所や課題をまとめる。その間に、学校に出向いて授業を参観し、子供たちと接する時間も設ける。 この受け入れを働きかけたのも「アイセック・ジャパン」の学生だ。研修先は企業がほとんどだが、ここ数年、地方自治体にも働きかけを強めてきた。 ２年前に初めて、千葉県鎌ヶ谷市役所での研修が実現。オーストラリアからの研修生が、外国人住民が住みやすい町づくりのために提言、ガイドブック

遠く離れた国立大と私立大が合同で就業実習を企画する。 高知市の市街地から車で北上すること約１時間、高知県いの町・旧本川（ほんがわ）村の中心部でひと休みして、さらに曲がりくねった道を約３０分。車を降りて手作りのロープウエーで川を渡り、大学生３人はようやく目的地にたどり着いた。 ３人が今月１４日、訪ねた先は、曽我部利男さん（６８）の炭焼き窯。特産の木炭で商品が開発できないか聞くのが目的だ。３人のうち１人は地元、高知大学の学生だが、残る２人は東京都西東京市の私立武蔵野大学の学生だった。 「杉の間伐材から炭を作ることを考えているんですが、売れますか」という高知大２年の千葉慶一郎さん（２０）に、「燃焼時間が短いため、燃料用には無理かもしれないが、水を浄化するにはいいかも」と曽我部さん。 ◎ 両大学が合同で企画する「商品開発・販売促進インターンシップ（就業実習）」は、旧本川村の特産品を商品化し、東京の

１年から教養科目として就業実習ができる大学がある。 柴又帝釈天にも近い東京都水道局金町浄水場は、東京ドーム５・５個分の敷地がある。首都大学東京の１年生３人は、東京東部の約２５０万人に飲み水を送るこの「水道水の製造工場」を舞台に、２２日から８日間のインターンシップ（就業実習）を始めた。 ３日目は、職員と同じ青色の作業服に青色ヘルメット姿で、若手職員に率いられて薬品注入所の地下２階にある気化器室に入った。ここでは液体塩素を気化する作業が行われる。３人は流れる顔の汗も気にせず、気化器とつながる排気管に取り付けられた圧力計を外して分解、清掃、点検をし、再度取り付けた。塩素ガスが漏れた場合に使う呼吸器の装着方法も学んだ。 金町浄水管理事務所技術課の秋山順一係長（５９）が「塩素を扱う作業は大変で危険も伴うが、管理を怠らずに手順をしっかりと守れば安全に出来る。どんな仕事にも共通することです」と語りかけた

インターンシップとは？ 在学中に社会(企業やNPO団体等)に出て研修生として働き、自身の興味のある職業や分野を体験できる制度をいいます。実体験で自らの専攻や将来の職業に関連した職業体験(研修)を行うことにより経験や技術(ビジネススキル等)を得ることができます。その貴重な経験から将来の進路のヒントを見出したり、効率よく興味のある分野を中心に就職活動を行うことに繋げることができます。 近年のインターンシップに対する学生の意識と傾向 数年前までは、学生の間でインターンシップという言葉は一般的なものではなく、一部の学生が主体的に情報収集して取り組む状況にありました。また、インターンを受け入れる企業も現在よりも数限られ、学生の企業を選定する選択肢も少ない状況にありました。 現在では、インターンシップの認知度と需要が拡大し、学生が直接企業にアプローチして、インターン期間や給与を決めるケースが増えている

学生のインターンシップを大学が積極的に支える。 「最も印象的だったこと…『会社のやっていることがわかり始めて、仕事が楽しくなった』という受け入れ担当者の発言。わからないことと、つまらないことは、背中合わせだ」 東京都内に本社を置く自動車部品メーカーで２２日から約１週間のインターンシップを始めた立教大学社会学部３年の豊田真之さん（２１）は、大学に電子メールで知らせる２日目の日報に、こんな風に記した。新たな発見で、研修先の会社を見る目が変わり始めた。 就業体験、就業実習、就業研修などと訳されるインターンシップ。企業側の公募に、学生が個人で応募する例が増えたが、立大は５年前から、全学的に大学がかかわる「立教型インターンシップ」を始めた。今では受け入れ先は約８０か所。参加する学生は夏休みだけで２００人近くになる。 ◎ 「立教型」は大学の教育の一環と明確に位置づけられている。 志望理由書を大学のコオ

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