東京都新宿区で路上生活をしていた男性(61)が、「仕事をする意思がない」との理由で生活保護の申請を却下されたのは不当だとして、同区に却下の取り消しなどを求めた訴訟で、東京地裁は8日、取り消しを認め、同区に生活保護の開始決定をするよう命じる判決を言い渡した。 川神裕裁判長は「男性に働く意思はあったが、確実な連絡先がないため就職は困難だった」とし、生活保護の要件は満たしていたと判断した。 判決によると、男性は2008年6月、アパートに入居しながら求職活動をするために生活保護を申請したが、ホームレスの自立支援事業の利用を拒否したことなどから、区側は「就職する真摯(しんし)な努力をしていない」として却下した。川神裁判長は、男性が同年8月に板橋区から生活保護の開始決定を受け、就職した点などを根拠に、働く意思があったと認定した。 新宿区は「今後、控訴するかどうかを考えたい」とコメントした。