『きょうは会社休みます。』(集英社) ――西暦を確認したくなるほど時代錯誤なセリフ、常識というハードルを優雅に飛び越えた設定、凡人を置いてけぼりにするトリッキーなストーリー展開。少女マンガ史にさんぜんと輝く「迷」作を、ひもといていきます。 少女漫画に登場する男たちは、いつだってかっこいい。見た目はもちろん清々しく、体脂肪率だって10%未満(推定)だ。たいてい勉強かスポーツができる。その上、一見貧乏そうだけど、実は金持ちだった、という『MARS』(講談社)の樫野くんみたいな例もある。 そして、そこで描かれる恋愛は、「好きになった男について行ったら、一発ヤられてポイ」とか「その後、救ってくれる男もなし」といった胸をえぐられるような痛い話は存在しない。なぜなら少女漫画は、女が社会を生き抜くつらさを忘れさせたり、「逆境にあっても頑張ろうぜ」とエールを送ってくれる、女に夢と希望を与えるメディアだから