東日本大震災によって生産停止の連鎖が日本全国や海外にも広がり、日本のモノ作りの効率化は行き過ぎだったと再考を促す声が高まっている。だが、それは本当に正しい指摘なのか──。 本コラムでは、ビジネス小説『ザ・ゴール』(ダイヤモンド社)の著者として知られるイスラエルの物理学者、エリヤフ・ゴールドラット博士が考案した改革手法の理論「TOC(Theory of Constraints:制約条件の理論)」とその具体的な手法を紹介しながら、実は効率化が進んでいなかった日本のモノ作りの実態を明らかにし、処方箋を提示していく。 3回目の今回は、前回でも「ジャストインタイム」による在庫の極小化を実現するうえで障害となっていたリードタイムの問題を取り上げる。工場では生産性を著しく改善している企業でも、製品の受注から納品までのリードタイムが長くなってしまうのはなぜなのか。それを短縮するにはどうしたらいいのか。実例