2022年3月9日(水)に第5回EAA批評研究会がZOOMにて開催された。2021年度の最終回となる今回の研究会では、本年度の振り返りとして「批評とわたし」というテーマのもと、メンバー各々が各自の研究と批評との関連性や批評と自分自身との関わり、そして批評の関連文献を共有する座談会形式で進められた。 まず片岡真伊氏は、本研究会への参加を通して改めて意識するようになった自身の研究分野(第二次世界大戦後に英語圏で翻訳・紹介された日本の小説の受容)と批評との繋がりについて触れた。翻訳文学の場合、文化の認知度のみならず、移植先の文化・言語圏・歴史的文脈に根ざした文学規範や理想が、読者や評者の評価基準・批評方法を少なからず規定するという。大佛次郎著『帰郷』の英訳版(1955)の書評や、イギリスの作家アンガス・ウィルソン(1913-1991)による日本文学批評の例に言及すると共に、英語圏における批評を支