ところが、日立製作所中央研究所、主管研究長の矢野和男氏は、著書『データの見えざる手:ウエアラブルセンサが明かす人間・組織・社会の法則』(草思社、2014年7月発行)の中で、運との出会いを理論化・モデル化し、自身が開発したウエアラブルセンサで実際に運を定量的に測定するとともに、運を向上させる方法も考案している。 そして矢野氏は、運はコントロール可能であると結論し、「運も実力のうち」ではなく、「運こそ実力そのもの」であると言い切っている。 本稿では、この本に沿って、まず、矢野氏が行った運の理論化・モデル化とその定量測定について紹介する。次に、ビジネスにおいて運を良くするにはどうしたらよいか、組織のリーダーの運を向上させるにはどうしたらよいかについて、矢野氏の理論を示す。 その上で、エルピーダやルネサスが失敗した原因が、合弁したことによって運が悪くなったことにあることを、矢野氏の運の理論から導き