世界的な食糧危機を救う可能性があるとして政官財の各方面から注目され、メディアにも引っ張りだこだったスタートアップ企業が2024年11月、あっけなく自己破産した。 食用コオロギの生産や商品開発を手がけた徳島大発の「グリラス」(徳島市)だ。大企業との提携が次々と決まっていたはずだが、何があったのか。 <主な内容> ・生産が追いつかない ・国連食糧農業機関「昆虫食は有望」 ・事態暗転のきっかけは… ・デマ、陰謀論、論点のすり替えが拡散 ・専門家「悪質なら法的措置の示唆を」 ・「コオロギで世界救う」思い変わらず 生産が追いつかない 同社は、徳島大大学院助教としてコオロギの基礎研究に取り組んでいた渡辺崇人(たかひと)さん(40)らが19年5月に設立した。社名の「グリラス」は、同社が養殖していたフタホシコオロギの学術名から取った。 「コオロギで世界を救いたい」 徳島県鳴門市にあった同社を20年5月に取
