私たちは時おり、明日の準備のために今日を犠牲にして過ごすことがあります。しかし、今日を深く生きなければ、明日もまた深く生きられないのは自明ともいえることです。人生の無常を伝えるローマ時代の格言、「カルペ・ディエム(今日を生きよ)」は、幸福の原点を未来に追い求めるのではなく、日々の暮らしの中に見出す言葉ともいわれます。 展覧会では、花をモティーフにした現代作家12名の絵画、写真、映像、インスタレーションなどを紹介するとともに、12名の作品に先立ち、花摘みの物語や生と死の図像を現代に伝える16世紀の版画や、ウィリアム・モリス、夏目漱石などの書籍、竹久夢二の挿絵、藤田嗣治、山本丘人らの絵画も展示します。背景に死の意識を持つことで、生の輝きを照らし出した100有余点の多彩な表現を通して、今を生きることの意義について改めて考えていただければ幸いです。 ※カルペ・ディエムの「カルペ(摘め)」は、ロ