これを見て、呉座先生が自分の「歴史学者」という仕事にもっておられる「誇り」に感銘し、なんとも幸福な方だと思う。まことにうらやましい。それは皮肉でもなんでもない。日本人がここのところ自分の職業へのプライドを失って自虐的になることが多いなかで、とても清々しいことだ。学者には象牙の塔などといわれても屈しない頑固なところも必要な資質だ。 ただ、私は歴史学者をそれほどひどく罵倒しているわけでもないので、百田・井沢・久野氏と十把一絡げに批判されても困ってしまう。そこのところは、軽く苦言を呈しておきたい。 まもなく刊行される「日本国紀は世紀の名作かトンデモ本か」など、ニュートラルな立場からの考察ではあるが、量的には批判のほうが多いから(賞賛の言葉を延々と書いても仕方ないから批判の方がページ数では多くなるのは必然だ)、そっちの熱烈なファンから猛攻撃を受けるのではないかと身構えているなかで、後ろからか横から