河野太郎氏の電波利用料の記事には、多くの怒りの声が集まっているようだ。しかし電波利用料の基準額は公表されているので、約35億円というのは、私が6年前のコラムに書いた通り、計算すればわかる数字だ。それにしても、なぜこんな巨大利権が半世紀以上にわたって維持されてきたのかを考える手がかりとして、本書を紹介しておこう。 本書では原発が中心になっているが、著者の前著『日本テレビとCIA』とあわせて読むと、冷戦の中でメディアとエネルギーを最大限に政治利用した正力松太郎という怪物が、現在の日本にも大きな影響を残していることがわかる(これは『電波利権』にも書いた)。正力は暗号名「ポダム」というCIAのエージェントで、米軍のマイクロ回線を全国に張りめぐらし、それを使って通信・放送を支配下に収めるという恐るべき構想を進めていた。 この「正力構想」はGHQに後押しされ、テレビの方式はアメリカと同じNTSCに