■ 第六ポンプ (ハヤカワ文庫SF)(パオロ バチガルピ) 最近フィクションをあまり読めてなくて、以前から積んであったこれを取り出したもののもたもたしているうちに文庫入りしてしまったという。とほほ。おまけに序盤、最貧民の少年がとんでもない秘密を掴んでしまい、人生の大転機を迎えようか……というところで物語がブツっと切れ、これが短篇集だと気づく始末。 バチガルピの描く世界は基本的にディストピア(ないし超格差社会を最底辺から描いたもの)なので、読んでいてあまり気分のいいものではない。それでも長編は緩急があって救いのある場面もないわけではないのだけど、短編となるとそういうことがないので読んでる最中は常にムカムカしていることになる。登場人物たちは本人に非がないにもかかわらずひどい目に遭いっぱなしだし、たいていは救いのない結末だ。頭ではどれもすばらしい作品だとはわかっていながらも、手放しに喜べない。