「メンバーの出身母体を見ると、一部の学識者を除いて日本銀行、金融庁、銀行、大手ITベンダーがほとんど。ガバナンスに関する指摘への答えになっていない」。ある大手銀行OBは、全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)が2020年5月に設置した「次世代資金決済システムに関する検討タスクフォース」の顔ぶれを見て、こう漏らす。 公正取引委員会が2020年4月21日に公表した報告書によって動揺しているのは、NTTデータの決済インフラ「CAFIS」だけではない。日本の決済システムにおけるもう一つの双璧である「全国銀行データ通信システム(全銀システム)」も在り方を問われている。全銀システムは日本国内で預金を取り扱う金融機関のほぼ全てを網羅する銀行間決済ネットワークで、全銀ネットが運営している。 公取委は報告書のなかで、銀行間手数料の見直しや全銀ネットのガバナンス強化などについて指摘した。これを受けて全銀ネ