『本の雑誌』2010年6月号(本の雑誌社)の「特集=古本お宝鑑定団!」より。中嶋大介さんのエッセイ「古本○○(まるまる)話」の一部です 【東京のコアな古本ファンは、関西の人たちよりも熱心だと思う。なぜそう思うかというと、3〜4年前、はじめて高円寺にある西部古書会館の古本市に行った時に見た光景が忘れられないからだ。ここの古書会館は、靴を脱ぎスリッパを履いて会場にはいらなければならない。その靴を脱ぎスリッパを履くというわずか十数秒が惜しい。その数十秒のスキに他の誰かに自分がほしい本を抜かれてしまうんじゃないかということで、開場する数分前から靴を脱ぎスーパーのレジ袋を巻いてスタンバイしている人がいたのだ。その気持ちもわからないでもないけど、やっぱり「そこまでしなくても…」と思う。 五反田の南部古書会館で開催される古本市も同様にお客さんが熱かった。開場は9時半で、その時間までは会場にお客さんが入ら