古代ギリシャ・ローマの主要著作を新たに邦訳した「西洋古典叢書(そうしょ)」(京都大学学術出版会)が通巻100冊目を突破した。内容は多彩で、半数が初訳。難解な印象を持たれがちだが、売れ行きは好調だという。 「諸外国の叢書に比肩しうる、一大書林の形成を」と銘打って、1997年から刊行を開始。厳正な原典理解を基本としながら、大学生が読みこなせる平明な訳文にした。最終的に300冊を網羅し、西洋古典の知の体系化を目指す。 目下の売り上げベスト3は、〈1〉『ニコマコス倫理学』(アリストテレス)〈2〉『政治学』(同)〈3〉『アエネーイス』(ウェルギリウス)。名著の久々の新訳とあって、それぞれ5000部に迫る。よくて数百部という業界の予測を覆し、同出版会編集長の鈴木哲也さん(55)は「読書人の潜在的な関心と合致した」と話す。 “奇書”も人気だ。原著15巻を初めて完訳した『食卓の賢人たち』(アテナイオス)は