産業革新機構(INCJ)傘下の「公的企業」であったはずの(株)出版デジタル機構(2012年4月設立)が、民間企業のビットウェイを買収した時(2013年7月)には、「民業圧迫」でルール違反という声も上がった。その「機構」の持株(70.52%)が逆に民業の大手のメディアドゥに「譲渡」されることになったが、これは何と言えばよいのか。 「非競争領域」論は正しかったか 「機構」は、電書の配信は「非競争領域」の公共インフラであるべきという、通称“三省懇”報告書(2010年6月)の規定に基づき、「出版業界主体」でスタートした。わずか5年で、この「公共インフラ」は放棄されることになる。「公共」の名のもとに、公的資金主体で始めた事業を事実上「払い下げる」以上、その妥当性は厳しく検証される必要がある。しかし、そうした議論は起こらず、あたかも民間の企業売買のように扱われようとしている。ここでは「機構」の経営や金