全国各地の匠(たくみ)たちが、相撲界を支えている。 日常生活で見慣れない数々のアイテムは、土俵に上がる力士たちにとって必要不可欠なものばかりだ。春場所(10日初日、エディオンアリーナ大阪)を前に、職人たちの思いを伝える。2回目は力士のまげに使用する元結(もとゆい)。 ◇ ◇ ◇ 「元結には未来がある」。長野・飯田市で現役の職人として活動する原豊さん(44)はそう力強く訴えた。「衰退してしまうかもしれないと心配される方もいますが、僕にとってはむしろ逆です。大相撲に使われているという時点で知名度が高く、外国の方にとっては力士たちの頭に付いている白いひもと言えば分かりやすい。これは世界を目指せますよ」と目を輝かせた。 元結は力士たちのまげを結うために紙をよって作ったひものことで、日本相撲協会に納められる多くが長野・飯田産だ。同市内の高台に設置された作業場へ訪れると、天日干しの真っ最中だった。