今年になって、古紙余り現象が首都圏を中心にあらわになっている。'92年以降、低迷していた古紙相場はさらに下落一方となり、5月になるとついに古紙問屋が回収業者にお金を払うどころか、下級紙である雑誌古紙についてはキロ当たり2円程度の引き取り料を要求するまでになった。古紙問屋団体は関東の300自治体に対し、雑誌類を家庭に留めておくよう求め、関東の古紙流入で関西の古紙相場も下がっている。市民の間にできかけた紙資源リサイクルの輪を崩壊させかねない事態へ、引き金を引いたのは、'96年12月の東京都の事業系ゴミ有料化だろう。 ◆資源政策の貧しさ 全国の自治体にとって増大するゴミの悩みは同じだ。焼却施設に送るにせよ、埋め立てるにせよ、その量を減らしたい。市民に減量を訴えた後、最後の手段は有料化となる。燃やせるゴミを14%減らす一方で、古紙・古衣回収量を18%増やした埼玉県与野市の例が端的に効果を示している