以前は「がんばりすぎないようにね」「がんばらなくていいよ」と人に言われても気にしなかった。最近はその言葉を聴くと、すこしつらくなるのを感じる。たぶん、自分が狭量になったんだ、と思う。 がんばらなくていいよ、という言葉で楽になれない。人に「がんばらなくていい」と言われると「いや、頑張るよ」と自分の中で確認し、「いや、頑張るよ」と口に出す。そういう僕を煙たがる人もいる。それでも僕は「いや、頑張るよ」と言う。これは自分にとっては重大な問題なんだ、と。 僕はむかしどこかで聴いたことのある話を思い出す。それは、こんな話だ。 君は、自分の余生を想像する。体調が悪くなり、ずっと病院のベッドで暮らすようになった自分を想像する。とても調子が悪い。目を開けるのもつらいし、隣の病室から耳に入ってくる声は耳障りでしかない。 君には手術が必要だ。 君の近くには医師がいる。自分の手術を引き受けた医師。なぜか部屋は暗い