ブックマーク / cinemaking.hatenablog.com (172)

  • 「月の満ち欠け」 - 映画貧乏日記

    「月の満ち欠け」 2022年12月7日(水)ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後1時50分の回(スクリーン7/D-6) ~ぶっ飛んだ設定にもかかわらずストレートに感動させてしまう廣木隆一監督の手腕 また廣木かよ! というわけで、「あちらにいる鬼」「母性」に続くこの秋冬3目の廣木隆一監督作品「月の満ち欠け」です。2017年に第157回直木賞を受賞した佐藤正午による同名小説映画化。 冒頭に登場するのは青森県八戸市の小山内堅(大泉洋)という男性。まもなく彼は上京して、緑坂ゆい(伊藤沙莉)という女性と会う。ゆいは、娘の瑠璃(菊池日菜子)の高校時代の同級生だった。 そこから時代はさかのぼり、1980年。小山内は梢(柴咲コウ)という女性と結婚する。このとき、世間ではジョン・レノンが殺害され、彼にゆかりの曲がたくさん流れていた。小山内は梢と愛し合い、瑠璃が生まれる。3人は幸せな日々を送る。 しか

    「月の満ち欠け」 - 映画貧乏日記
  • 「あのこと」 - 映画貧乏日記

    「あのこと」 2022年12月3日(土)Bunkamuraル・シネマにて。午後1時より鑑賞(ル・シネマ1//B-7) ~中絶が禁止されていたかつてのフランスで孤独に戦う女子学生 いやぁ~、この日、私が渋谷に向かう副都心線は車両点検のせいで15分遅れ。大急ぎでようやく映画館に駆け込んだのだ。やれやれ。間に合わないかと思ったぜ。 鑑賞したのはフランス映画「あのこと」。2022年のノーベル文学賞を受賞したアニー・エルノーの短編小説事件」を映画化し、第78回ヴェネチア国際映画祭金獅子賞に輝いた。ちなみに、その時の審査委員長はポン・ジュノ監督。 それにしても邦題の「あのこと」とは何とも意味深なタイトルですなぁ~。 1960年代のフランスが舞台だ。女子学生のアンヌ(アナマリア・ヴァルトロメイ)は、学業優秀で前途有望な大学生。努力の末に明るい未来をつかみかけていた。そんな中、大事な試験を前に思いがけず

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  • 「ミセス・ハリス、パリへ行く」 - 映画貧乏日記

    「ミセス・ハリス、パリへ行く」 2022年12月1日(木)池袋HUMAXシネマズにて。午後3時30分より鑑賞(シネマ5/B-8) ~ロンドンの家政婦のおばちゃんがパリのファッション業界に殴り込み!? ファッションにはまったく疎い私だが、クリスチャン・ディオールぐらいは知っているのだ。と言っても、単に名前を知っている程度の話なのだが。 そのクリスチャン・ディオールのドレスが、ストーリーの重要な要素になる映画が「ミセス・ハリス、パリへ行く」だ。ポール・ギャリコの同名小説を、ドキュメンタリーを中心に活躍して、長編劇映画はこれが3作目となるアンソニー・ファビアン監督が映画化した。 1957年のロンドン。夫を戦争で亡くした家政婦のミセス・ハリス(レスリー・マンヴィル)は、ある日勤め先の家で1着の美しいドレスと出会う。それは高価なクリスチャン ディオールのドレスだった。そのドレスにすっかり心奪われたミ

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  • 「宮松と山下」 - 映画貧乏日記

    「宮松と山下」 2022年11月29日(火)渋谷シネクイントにて。午後1時50分より鑑賞(スクリーン2/D-8) ~虚構と現実の境目がないエキストラの不思議な人生 いつも読んでくださりありがとうございます。 メジャーな映画から地味なインディーズ映画まで、節操もなく取り上げるブログです。 というわけで日はこちらの映画を……。 教育番組「ピタゴラスイッチ」などで知られるクリエイティブディレクターの佐藤雅彦。NHKでドラマ演出に携わってきた関友太郎。「百花」の共同脚を務めた平瀬謙太朗。東京芸大大学院映像研究科で佐藤が研究室を率い、関と平瀬は教え子という関係でもある。 この師弟3人は監督集団「5月」結成して、これまでに何かの短編映画を作ってきた。そして、いよいよ長編デビュー作となったのが「宮松と山下」だ。上記3人が監督、脚、編集に名を連ねている。 エキストラ俳優の宮松(香川照之)のもとに、

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  • 「シスター 夏のわかれ道」 - 映画貧乏日記

    「シスター 夏のわかれ道」 2022年11月26日(土)シネ・リーブル池袋にて。午後4時45分より鑑賞(シアター2/F-5) ~見知らぬ弟を押し付けられた姉の葛藤。一人っ子政策がもたらした闇を照らす あからさまに政府の批判などしようものなら、当局からダメだしが入る中国映画だが、実はそれなりに社会問題を盛り込んだ作品は多い。もちろん、それが今の政府批判にならないことは条件なのだが。 「シスター 夏のわかれ道」も社会問題を背景としたドラマだ。 主人公は看護師として働きながら、医者になるために北京の大学院進学を目指すアン・ラン(チャン・ツィフォン)。ある日、疎遠だった両親が交通事故で亡くなり、親族から会ったこともない6歳の弟・ズーハン(ダレン・キム)を押し付けられてしまう。両親の死すら理解できずワガママばかりのズーハンに振り回されっぱなしのアン・ラン。北京行きの計画に暗雲が垂れ込める中、彼女は弟

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  • 「母性」 - 映画貧乏日記

    「母性」 2022年11月24日(木)ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午前11時30分より鑑賞(スクリーン5/G-13) ~「母性」とは何か?を追求し、「母」の概念に疑問を呈す母娘のドラマ また廣木隆一かよ! 次々に映画を撮る廣木隆一監督。この秋冬だけでも「月の満ち欠け」「母性」「あちらにいる鬼」と監督作品が3も公開だ。先日は「あちらにいる鬼」を取り上げたが、今回は「母性」を取り上げる。それにしてもよく働くなぁ~。 人気作家・湊かなえの小説が原作のミステリードラマだ。 映画の冒頭。ある事件の記事が学校の教員室で話題になる。女子高生が自宅の庭で死亡したのだ。発見したのは少女の母。それは事故なのか自殺なのか。 続いて、ルミ子(戸田恵梨香)という母が真相を語り始める。お嬢様育ちの彼女は実母(大地真央)の愛情を一身に受けて育ち、ルミ子もそんな実母を溺愛していた。やがて、ルミ子は絵画教室である

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  • 「ある男」 - 映画貧乏日記

    「ある男」 2022年11月21日(月)ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午前11時30分より鑑賞(スクリーン2/E-9) ~人間は何をもってしてその人間たりえるのか。人間の質に迫った骨太なエンタメ作品 「愚行禄」「蜜蜂と遠雷」などの石川慶監督は、ポーランドで映画を学んだという珍しい経歴を持つ。その石川監督の新作は、芥川賞作家・平野啓一郎の小説映画化した(脚は向井康介)「ある男」だ。実は、私はすでに原作を読んでいたので、面白さが半減したらどうしようかと思っていたのだが、幸いにもそんなことはなかった。 谷口里枝(安藤サクラ)は、離婚して子供を連れて故郷に戻り、森の伐採現場で働く「大祐」(窪田正孝)と知り合い再婚する。ある日、不慮の事故で「大祐」は命を落とす。だが、法要の席に長年疎遠になっていた大祐の兄が訪れ、遺影に写っているのは「大祐」ではないと話したことから、夫は別人だと判明する。

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  • 「チケット・トゥ・パラダイス」 - 映画貧乏日記

    「チケット・トゥ・パラダイス」 2022年11月20日(日)ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午前11時40分より鑑賞(スクリーン1/D-8) ~ジョージ・クルーニーとジュリア・ロバーツの夫婦漫才を堪能せよ! いつもいつも面倒くさい映画を取り上げているわけではないのだ。たまには単純明快、観たらスッキリするような映画も取り上げるのだ。 で、「チケット・トゥ・パラダイス」である。これぞハリウッドの典型的なハートフル・コメディー。驚くようなことは何もないけれど、観たら楽しくなれる作品だ。 20年前に離婚した元夫婦のデヴィッド(ジョージ・クルーニー)とジョージア(ジュリア・ロバーツ)。お互いに結婚を後悔し、顔を合わせればいつもいがみ合ってばかりいた。2人の娘のリリー(ケイトリン・デヴァー)が、ロースクールを卒業することになり、揃って卒業式に出席するが、そこでも言い争う始末。 その後、リリーは卒業

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  • 「ザ・メニュー」 - 映画貧乏日記

    「ザ・メニュー」 2022年11月18日(金)ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後1時より鑑賞(スクリーン9/E-14) ~ミステリー?ホラー?高級レストランを舞台にしたドラマは痛烈な社会風刺劇 先週の土曜日にTOKYO DOME CITY HALLでの伊藤蘭のコンサートに行ってきたのだ。何と前から2列目の席で、数メートル先の伊藤蘭の歌い踊る姿を目撃してきたのだ。イェーイ! そんなことはどうでもいい。今日取り上げる映画は「ザ・メニュー」。高級レストランを舞台にしたドラマだ。美味しい料理とともに、そこに集った人々の人間模様が浮かび上がる。それを観ているうちに感動の涙が……。 などというのは大ウソです。実はこの映画、サスペンスであり、スリラーであり、ホラーであり、感動するどころか怖くておぞましい怪映画なのだ。 太平洋の孤島に、なかなか予約が取れない高級レストランがある。有名シェフのジュリア

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  • 「あちらにいる鬼」 - 映画貧乏日記

    「あちらにいる鬼」 2022年11月17日(木)グランドシネマサンシャイン池袋にて。午後1時30分より鑑賞(スクリーン7/e-8) ~井上光晴と奥さん、そして瀬戸内寂聴の不可思議な関係 コロナ第8波の到来だ。もう一度気を引き締めねばならない。というわけで、混雑していない映画はどれだ? 足を運んだのは「あちらにいる鬼」。事前にネットで見たら観客は4人。やったー!と思って行ってみたら、けっこう混雑しているではないか。しかも、私の左隣に観客がいるぞ。うーむ、どうもネットで予約せずに劇場でチケットを買った人が多かったみたい。 とはいえ、帰るわけにもいかず最後まで鑑賞。「あちらにいる鬼」は、小説家・井上光晴の娘で直木賞作家の井上荒野の小説映画化したもの。その小説がどんなものかといえば、両親と瀬戸内寂聴をモデルに3人の特別な関係を綴ったものなのだ。 1966年、人気作家の長内みはる(寺島しのぶ)は、

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  • 「わたしのお母さん」 - 映画貧乏日記

    「わたしのお母さん」 2022年11月11日(金)ユーロスペースにて。午後2時30分より鑑賞(ユーロスペース2/D-9) ~余白を使って繊細に描写された母娘のすれ違う心。これぞ映画の妙味! 親子といえども必ずしも仲が良いとは限らない。いや、むしろ親子だからこそ、心がすれ違うことがあるのかもしれない。 「わたしのお母さん」は母と娘のすれ違う心を描いたドラマである。監督は、長編デビュー作「人の望みの喜びよ」が第64回ベルリン国際映画祭ジェネレーション部門でスペシャルメンションを受賞した杉田真一。 3人姉弟の長女で現在は夫と2人で暮らしている夕子(井上真央)。ある日、突然、長男夫婦と暮らしていた母の寛子(石田えり)と一時的に同居することになる。だが、寛子は明るく社交的な性格で、夕子はそんな母が昔から苦手だった。不安を抱えたまま、寛子との同居生活を始める夕子だったが……。 映画の冒頭で、夕子は母へ

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  • 「パラレル・マザーズ」 - 映画貧乏日記

    「パラレル・マザーズ」 2022年11月9日(水)Bunkamuraル・シネマにて。午後2時より鑑賞(ル・シネマ1/D-8) ~アルモドバル監督による変化球の「母の物語」。ペネロペ・クルスの繊細な演技 前回の「ヒューマン・ボイス」に続いて、スペインの巨匠ペドロ・アルモドバル監督の映画を。「オール・アバウト・マイ・マザー」など母の物語を数多く撮ってきたアルモドバル監督。新作「パラレル・マザーズ」も母の物語だ。 主人公はフォトグラファーのジャニス(ペネロペ・クルス)。彼女は、仕事で考古学者のアルトゥロ(イスラエル・エレハルデ)と出会い、彼にスペイン内戦で亡くなった親族の遺骨発掘について相談する。それをきっかけに2人は深い仲になり、ベッドを共にする。 と思ったら、次のシーンはいきなり病院かよ!ジャニスは妊娠。アルトゥロが既婚者であることから、ジャニスは彼と別れてシングルマザーになることを決意した

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  • 「ヒューマン・ボイス」 - 映画貧乏日記

    「ヒューマン・ボイス」 2022年11月9日(水)Bunkamuraル・シネマにて。午後1時5分より鑑賞(ル・シネマ1/C-6) ~ティルダ・スウィントンの一人芝居がすごい!アルモドバル初の英語劇 2~3年前までは1日5とか、平気に映画館で映画を観ていた私だが、コロナ禍や心臓の手術などあって今は1日1がやっと。あ、でもこの前は、「千夜、一夜」と「マイ・ブロークン・マリコ」をハシゴしたっけ。 この日も2映画をハシゴ。といっても、1は30分の短編だから、どうってこともないのだが。 スペインの巨匠ペドロ・アルモドバル監督の新作「パラレル・マザーズ」の公開に合わせて、2020年の短編映画「ヒューマン・ボイス」が併映された。こちらは特別料金800円也。 ジャン・コクトーの戯曲「人間の声」を大胆に翻案した30分の短編映画である。アルモドバルにとっては初の英語作品ということになる。ちなみに製作

    「ヒューマン・ボイス」 - 映画貧乏日記
  • 「やまぶき」 - 映画貧乏日記

    「やまぶき」 2022年11月7日(月)ユーロスペースにて。午後2時30分より鑑賞(ユーロスペース1/D-11) ~地方都市を舞台にした群像劇。そこから日が、そして世界の今が見える 以前ユーロスペースに行った時に、ちょっと気になるチラシをゲットした。女の子が頭に赤い布を巻き、こちらを見つめている。タイトルは「やまぶき」。心がざわついた。 この映画の監督・脚は、岡山県真庭市で農業(トマトを作っているらしい)を営みながら映画製作を続ける山﨑樹一郎。今年行われた第75回カンヌ国際映画祭ACID部門に選出されるなど、海外で評価されているようだ。 ちなみに、山﨑監督の作品は「ひかりのおと」「新しき民」に続く長編3作目となる(どちらも未見)。 舞台は地元の岡山県真庭市。韓国で乗馬競技のホープだったチャンス(カン・ユンス)は、親の会社の倒産で多額の借金を背負っていた。今はベトナム人労働者たちとともに

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  • 「犯罪都市 THE ROUNDUP」 - 映画貧乏日記

    「犯罪都市 THE ROUNDUP」 2022年11月5日(土)ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後1時30分より鑑賞(スクリーン9/D-11) ~マ・ドンソクの魅力が全開の理屈抜きで楽しめるアクション映画 マーベル・スタジオのアクション大作「エターナルズ」に出演するなど、世界的に活躍する韓国俳優マ・ドンソク。アクションスターとして強いのは当然だが、真ん丸の顔と体型でどこか愛らしさを感じさせるのも魅力だ。 そのマ・ドンソクが主演している犯罪アクション映画が「犯罪都市 THE ROUNDUP」だ。2017年製作の「犯罪都市」の続編だが、前作を観ていなくても楽しめると思う(私も観ていません)。 クムチョン署の強行犯係に所属する刑事マ・ソクト(マ・ドンソク)は、その剛腕で犯人をボコボコにして問題になっていた。そんな中、ソクトは国外逃亡した容疑者を引き取るためベトナムへ行くように命じられる。チ

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  • 「窓辺にて」 - 映画貧乏日記

    「窓辺にて」 2022年11月4日(金)シネ・リーブル池袋にて。午後2時20分より鑑賞(スクリーン1/G-8) ~ダメな人間を優しく受け入れる今泉監督らしい恋愛映画 今泉力哉監督は、私が最初に観た2013年の「サッドティー 」をはじめ、「愛がなんだ」「街の上で」などの恋愛映画を数多く撮ってきた。恋愛映画の名手といってもいいだろう。オリジナル脚で撮った新作「窓辺にて」もまた恋愛映画である。 主人公は市川茂巳(稲垣吾郎)。昔一度小説を書いたものの、今はフリーライターとして活動している。彼は、編集者である・紗衣(中村ゆり)が人気若手作家の荒川円(佐々木詩音)と浮気していることに気づいていたが、怒りの感情は湧き起らなかった。そんなある日、市川は文学賞の授賞式で高校生作家・久保留亜(玉城ティナ)に出会う。彼女の受賞作「ラ・フランス」の内容に惹かれ、その小説のモデルに会わせてほしいと話す市川だった

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  • 「もっと超越した所へ。」 - 映画貧乏日記

    「もっと超越した所へ。」 2022年10月20日(木)TOHOシネマズ池袋にて。午後1時25分の回(スクリーン9/D-8) ~ダメ男を引き寄せる女性たちもダメ女!?根宗子の舞台劇を映画化 根宗子という劇作家・演出家・女優がいる。彼女の舞台はとても人気があるらしい。そんな中、仕事絡みでその根のインタビューに同席することになった。しかし、舞台の出演者であるアイドルとともに話をした彼女は、ごく普通のお嬢さんという感じで、その人気の秘密まではよくわからなかった。 そんな根が脚・演出を手がけた2015年上演の舞台「もっと超越した所へ。」が映画化された。プロデューサーの近藤多聞がこの舞台を見て映画化を熱望したらしい。監督は「傷だらけの悪魔」の山岸聖太だが、脚は根自身が書いている。 4人の女性の恋愛模様を描くドラマだ。2020年、衣装デザイナーの真知子(前田敦子)の家にバンドマン志望のユー

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  • 「アメリカから来た少女」 - 映画貧乏日記

    アメリカから来た少女」 2022年10月19日(水)ユーロスペースにて。午後2時30分より鑑賞(スクリーン1/F-8) ~帰国子女の少女のやり場のない怒りと葛藤。そして成長…… 帰国子女が日と外国との違いに戸惑い、大変な思いをする。そんな話をよく聞く。 台湾の新鋭ロアン・フォンイー監督が自らの体験をもとに長編デビューを飾った「アメリカから来た少女」は、アメリカから台湾に帰った少女の話。彼女の葛藤と成長を描き出す。台湾のアカデミー賞といわれる第58回金馬奨で、優秀新人監督賞や最優秀新人俳優賞など5冠に輝いた作品だ。 舞台は2003年の台湾。母と妹とロサンゼルスで暮らしていた13歳のファンイー(ケイトリン・ファン)は、乳がんになった母の治療のため3人で台湾に戻ってくる。台湾に残っていた父とは久々の再会になる。 ファンイーと妹はすっかりアメリカになじんでいた。母も含めて会話は英語が多い。ファ

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  • 「スペンサー ダイアナの決意」 - 映画貧乏日記

    「スペンサー ダイアナの決意」 2022年10月15日(土)ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後2時20分より鑑賞(スクリーン5/H-12) ~ダイアナ妃をめぐる寓話。描かれるのは狂気に走る女の姿 スキャンダルにまみれ衝撃的な死を迎えたダイアナ妃。もしも生きていたら、今回のエリザベス女王の死に接してどんな態度をとっただろうか。 そのダイアナ妃の人生を描いたのが「スペンサー ダイアナの決意」。監督は「ジャッキー ファーストレディ 最後の使命」のパブロ・ラライン。 ただし、この映画、正確にダイアナ妃の生涯をたどった伝記映画ではない。映画の冒頭に「実際の悲劇にもとづく寓話」と断っているように、大胆に脚色をしたフィクションといってもいいだろう。こうであったのではないか、こうであったら面白いという作り手の思いが、そのまま反映された作品だ。 1991年のクリスマス。ロイヤルファミリーは、エリザベス

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  • 「七人樂隊」 - 映画貧乏日記

    「七人樂隊」 2022年10月11日(火)新宿武蔵野館にて。午後3時より鑑賞(スクリーン1/C-5) ~7人の香港のベテラン監督によるノスタルジックなオムニバス映画 昔、何度か香港に行ったことがある。とても良いところで楽しかった。特にホテルのラウンジから見た夜景は忘れ難い。今ではもう色々な意味で変わってしまったけれど、また訪れてみたい気もする。 「七人樂隊」は香港の7人の有名ベテラン監督によるオムニバス映画だ。1950年から未来までを舞台に、1話15分程度の7つの物語が展開する。恋人たちの悲しい別れからコントのような爆笑のエピソードまで、バラエティーに富んだ内容だ。 1作目はサモ・ハン監督の「稽古」。おそらく監督の自伝的エピソードなのだろう。1950年代に仲間とともに、師匠の下で必死にカンフーの稽古をした幼い日が描かれる。いかにもカンフー映画で知られる監督らしい作品だ。 2作目はアン・ホイ

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