子供を育てる時、はじめのうちは親が子供の前に立ち、手取り足取り教えてあげたり、行き先を決めてあげたりするものなのだろう。しかし、ある時点に来たら、親は子供の後ろに立ち、「大丈夫だよ、ここで見ていてあげるから、やってごらん」と言う必要がある。これは子育てに限らず、教育とは全てそういうものなのかもしれない。 しかし、私の母は後ろに回るということがなかった。不安感が強く、安心と安定を求めた母は、判断を子供に任せたら、子供が最悪の失敗をしてしまうと考えるような人だった。なので母は、終始私の前に立ち続け、誘導という支配をした。皮肉にも母は、その結果として、自ら最悪の失敗を招いてしまった。 子供が失敗することを恐れて、事前にあれこれと手を回すのは、優しいようで優しくない。それは子供に対して、「失敗したら終わり。失敗したら終わり」と言っているようなものだからだ。というよりも、そもそも親自身がそう思い込ん