9月末で閲覧業務を終了した府立特許情報センター(大阪市天王寺区)には、行き場のなくなった膨大な資料が残る。明治以降の特許公報など約42万点、10トントラックに換算して70台分。多くがデジタル化済みのいわば“時代の遺物”の紙資料だが、焼却するにも多額の費用がかかるため、担当者らは「せっかく集めたものを捨てるのはしのびない」と、ぎりぎりまで譲渡先を探している。 センターは1996年、中小企業の技術開発支援などを目的にオープン。8階建て、延べ2400平方メートルの書庫には、1885年以降の特許公報や、実用新案、意匠の記録などがぎっしり詰まっている。 特許庁は、これらの多くを電子データ化しているが、センター担当者は「これほど大量の紙資料を所蔵するのは全国でもここだけ。特許を巡る訴訟の情報収集など、一部の企業などには資料価値が高い」と話す。 しかし、インターネット検索が普及するにつれて、紙資料に特化