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ブックマーク / www.anlyznews.com (6)

  • リフレーション政策を唱えても選挙の票にはならない

    今回の衆議院選挙で、リフレ派議員の馬淵澄夫氏、小沢鋭仁氏が落選したことで強く思うようになったのだが、大規模な量的緩和を中心とするリフレーション政策を唱えても票にはならない*1。個別の議員が唱えたときはもちろん、党の方針として打ち出したときも、そんなに集票能力の高い政策では無い。そして、仮にリフレ政策が機能したとしても、支持率の向上にはつながらない可能性が高い。 1. 世論調査では経済政策への関心が高いが・・・ 世論調査によると、内閣を評価するときに重視する項目の双璧は、社会保障と経済政策だ。安倍政権発足直後の2013年は経済政策が最も重視されており、最近は社会保障が一番目に来る。これだけ見ると魅力的な経済政策を提示する方が選挙に有利に思えるが、だからと言って有権者が特定の経済政策を評価するとは限らない。 2. 内閣支持率は個別政策や景気回復との関連が低い 高い内閣支持率を誇ってきた安倍総理

    リフレーション政策を唱えても選挙の票にはならない
  • 雇用改善しているのに、景気が良くない気がする理由

    金融政策の転換と言う意味でのアベノミクスで景気が回復したような話を良く見かけるのだが、色々と考えると同意しづらい所は多い*1。リフレ派の皆様も、デフレに戻ったので景気対策が必要と言っているので、実のところアベノミクスの成果をそんなに認めていない。なぜ、雇用が良い*2のに、景気が良くない気がするのであろうか。既に反安倍の人々が指摘している事を、請け売りしたい。つまり、高齢化に伴い介護サービスの従事者が増えている一方で、その他の就業者数が以前の水準に回復しているわけではないからだ。 1. 雇用をひっぱる福祉・医療分野 「第12回改定日標準産業分類別就業者」の業種別就業者数のうち、製造業、建設業、福祉・医療の変化を見てみよう。 福祉・医療の従事者数は2002年から2016年までの間、景気の影響を受けずだいたい同じペースで伸び続けている。ここから、2013年4月からの異次元緩和などの影響は受けて

    雇用改善しているのに、景気が良くない気がする理由
  • マイクロファイナンスで借金苦には陥らない

    ノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス氏が始めた貧困層向け小口融資であるマイクロファイナンスは、広く貧困層の生活改善に役立つと信じられている一方で、先進国と比較してとても高い金利を課す場合もあることから、むしろ借金苦から生活悪化につな がるのではないかと言う懸念を抱く人々もいる。そういう疑問に答えるべく、当に生活改善につながるのか、借金苦には陥らないのかを検証した論文を西田一平氏が紹介していた(Living in Peace)。内容を大雑把に紹介したい。 西田氏が紹介しているAngelucci, Karlan and Zinman (2013)は、メキシコ最大のマイクロファイナンス機関(MFI)であるCompartamos銀行の協力で行われた調査をまとめたものだ。この種の政策効果を測定するにあたり、もっとも信頼性が高いと言われているランダム化比較実験(RCT)の亜種を用いている。 通常

    マイクロファイナンスで借金苦には陥らない
  • はてサが読むべき『在日・強制連行の神話』

    「在日・強制連行の神話」は、80年代から語られるようになった「在日韓国・朝鮮人は強制連行の被害者である」と言う誤解を、史料を元に否定した上で、なぜ誤解が生まれたかを丹念に記述している。要は在日韓国・朝鮮人の論者が捏造した神話だそうだ。著者の首都大学教授の鄭大均氏はエスニシティや日韓関係論の専門家で、この問題を語るに相応しい人物であろう。 1. 神話とその発生経緯の丁寧な説明 第1章で各所にある「在日は強制連行の被害者である」と言う記述を確認し、第2章でそれに対しての反論が紹介されている。第3章は在日一世たちの証言を紹介しつつ、第2章の反論を補強している。この章は興味深い話も多く、面白かった。第4章で朴慶植氏の「朝鮮人強制連行の記録」が誤解の源であり、その記述には不正確さがあること、朴慶植氏が北朝鮮の影響を強く受けていたことを指摘している。第5章は金嬉老事件に関して、梁石日氏、姜尚中氏、辛淑

    はてサが読むべき『在日・強制連行の神話』
  • 民主的なルールを左翼の人に考えて欲しい

    は民主制度を採用しており、国民は法の下の平等で、かつ言論の自由がある。平等と言う事は、信条によって優遇も差別も法的にはされない*1。言論の自由と言っても、名誉毀損や誹謗中傷は許されないが、その制限は政治思想に関わらずかかる事になる。 前のエントリーのコメントで在特会のデモ*2を制限すべき、もしくは多人数の「市民」が少数のヘイト・スピーカーを封殺する事は認められる*3と言う主張が見られた。これは少数派のデモを、多数派が実力行使で防止する事になる*4。信条に関わらずだ。 200人の在特会が「在日は出ていけ!」と言う声を、600人の左翼活動家が「仲良くしようぜ!」で打ち消すとしよう。一見、美談に思える。しかし、200人のチベット人の「中国人は出ていけ!」と言う声を、600人の中国人が「仲良くしようぜ!」で打ち消す事を許容している。 左翼の人が在特会デモへのカウンター行動を美談として考えている

    民主的なルールを左翼の人に考えて欲しい
  • 経済学的な裏づけはあるオバマの政策

    「オバマ再選でアメリカ経済はさらに停滞するだろう」と言うブログのエントリーで、オバマ大統領の政策が経済を低迷させると主張している。新自由主義者には理解したく無いのであろうけれども、経済学的にオバマ大統領の政策は、少なくとも一方の立場からは妥当と言えるものも多い。目や耳を塞いで新自由主義を唱える人が見るとも思わないが、幾つかツッコミを入れてみよう。 1. 金融規制 まずは金融政策の部分だが、金融機関の規制は無理があるので、銀行にリスク回避的な行動を取らせるために、救済をしないと宣言すべきだと、ドッド・フランク法案を否定している。銀行員と預金者の利害対立があるので、この議論は単純すぎる。 ミクロ金融理論には二つの代表的な銀行の論文がある。Diamond(1984)*1では銀行員と預金者の間には利害関係があるので、銀行員が暴走しないように自己資比率などの規制が必要だと議論している。Diamon

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