「葬式仏教」という言葉があるほど日本の仏教は葬式と密接なかかわりを持ってきた。葬式をせずに火葬や納骨が行われる「直葬」の増加に、仏教界の危機感は強い。 浄土宗が9月3日に、大正大学(東京都豊島区)で開いた学術大会で、仏教界の危機感を象徴する発表があった。 浄土宗総合研究所が宗門の7045寺院を対象に、葬儀の実態を探ろうとしたアンケートがそれだ。調査に携わった淑徳大学の武田道生准教授は、「各地で葬式の形が激しく変わっているのに、宗教の側が対応し切れていない」と研究目的を説明する。 家族葬(密葬)のような規模が小さい葬式の経験について訪ねたところ、44%が「増えている」。葬式をせずに、火葬場の炉前で簡単に経を唱えるだけというスタイルの直葬を経験した僧侶が、4%にのぼることなどが判明した。 「だが、直葬に僧侶が呼ばれることは極めてまれ。4%という数字の背後には、直葬の相当な広がりを推測できる」と