たいして儲かっているように見えないベンチャー企業が続々と高値で買収されていくのはなぜか? その背景には投資家たちのギャンブルじみた増資と、投資家好みに演出されたアッパーなオフィスと、目を輝かせながら低賃金で働かされる若者たちの姿があった。米誌『ニューズウィーク』をリストラされた50歳の記者が、ITベンチャー「ハブスポット」でみた「やりがい搾取」の実態とは――。 ※以下はダン・ライオンズ『スタートアップ・バブル 愚かな投資家と幼稚な起業家』(講談社)の第12章「部品としての社員」からの抜粋です。 取材経験25年でもわからなかった どうやら私は、世間知らずだったらしい。25年間、IT企業について書いてきたから、この業界をわかっているつもりでいた。だが、ハブスポットで気づいたのは、自分が信じていた多くのことが間違っていたこと。 たとえば、IT企業は、偉大な発明――目を見張るような機器や素晴らしい