慰安婦像を取り囲み、日本政府に謝罪と補償を訴える人たち(2015年7月、ソウル) Kim Kyung-Hoon-REUTERS <慰安婦の存在は一般に知られていたが、当初は戦争の物語から抜け落ちていた。なぜ語られるようになったのか。キャロル・グラック教授が学生たちとの対話を通してあぶり出す「慰安婦問題の背景」> 日本近現代史を専門とするコロンビア大学のキャロル・グラック教授(歴史学)。新著『戦争の記憶 コロンビア大学特別講義―学生との対話―』(講談社現代新書)には、グラック教授がコロンビア大学で多様な学生たちと「戦争の記憶」について対話をした全4回の講義と、書きおろしコラムが収録されている。 本書の元となったのはニューズウィーク日本版の企画で、学生たちとの対話は2017年11月から2018年2月にかけ、ニューヨークの同大学にて行われた。本誌では「戦争の物語」「戦争の記憶」「『慰安婦』の記憶