*p104 ここでよく、GNPがこんなに増えてみな豊かになったではないかと逆襲されると、僕なんか一言も言い返せません。ただ都留重人さんという経済学者が、「蚊のいる国といない国」という話をなさったことがありまして、これがそれに対する答えだとおもいます。同じ規模の国が二つあり、片方には蚊がいますが、片方にはいません。どっちに住んだ方が幸せかという問題です。蚊のいる国は、当然蚊取線香を誰かがつくります。その工場ができ、それを売る問屋とか小売店もできます。それをいろんな人が買います。そうするとGNPは、絶対その蚊のいる国の方が増える。蚊のいない国のGNPは段々引き離される。しかしどっちが安眠できるかと言いますと、GNPの増えない、蚊のいない国です。これが都留重人さんの有名な譬え話です。昔GNP世界第二位なんて言って日本中が浮かれている時に、そういうことを言われました。 同じ規模の国があって、片方で