子宮頸(けい)がんワクチンの接種を、国が積極的にすすめなくなって1年半になる。注射の後に長期的な痛みなどに見舞われる患者が相次ぎ、打開策を見いだせないためだ。病気を防ぐ有効性と、悪い影響が出るリスクをどう受け止めればよいのか。現状を整理した。 副作用の原因、未解明 「若い女性が死亡する悲劇をなくせる」「患者の声に耳を傾けるべきだ」 東京都内で12月10日に開かれた日本医師会と日本医学会主催のシンポで、ワクチン推進派と慎重派が互いの主張を述べた。 子宮頸がんは子宮の入り口にできる。性行為によるヒトパピローマウイルス(HPV)感染が主な原因で、日本人女性では年に約1万人(上皮内がんを除く)が罹患(りかん)し、約3千人が死亡するとされる。20~30代で発症率、死亡率が増加しているのが特徴だ。 ワクチンは、子宮頸がん全体の5~7割の原因とされる2種類のHPVの感染を防ぐ効果があると言われている。2