「エスカレーターで歩くな」はしょせん建前か? 利用者ほぼ“ガン無視”の現実、乗り方めぐって暴行事件も 加速する同調圧力社会の行方とは 「真ん中に乗るなんて無理でしょう、何をされるかわからない」 東京都心、秋葉原駅のエスカレーター、ようやく話を聞けた30代サラリーマン男性。視線の先には、見事なまでに左側にずらりと利用客が並び、右側はきれいに空いている。時折早歩き、ごくまれに走るサラリーマンと思わしき方がその空いたスペースを駆け上がって行く。都心でも有数の大規模かつ長いエスカレーター、その光景はまるで映画『十戒』で預言者モーゼが海を割ったかのようだ。 「あなたがやってみたらどうですか、真ん中に立って」 真ん中とは言っていないのに少し強めの言葉。責められたように感じてしまったのだろうか。筆者(日野百草、ノンフィクション作家)はただ、エスカレーターの片側空けとそれに伴う歩き行為、駆け上がり駆け下り