中学生くらいを読者対象に想定して書かれたと思われるファンタジー小説。最後のところは、さすがにジンとくるが、全体としては随所に甘さが散見される。タイトル通り、キップを失くした子供たちが東京駅で共同生活を 中学生くらいを読者対象に想定して書かれたと思われるファンタジー小説。最後のところは、さすがにジンとくるが、全体としては随所に甘さが散見される。タイトル通り、キップを失くした子供たちが東京駅で共同生活を送るというお話なのだが。死をいかに受けとめるかをめぐるビルドゥングス・ロマンを、鉄道と旅と北海道で色彩豊かに描いてはいるのだが。池澤夏樹の小説にしては、突き詰め方が不十分なようだ。読者対象を意識しすぎた結果かと思われるが、もっと難解でもよかったのではないか。残念ながら着想を生かしきれないものになったようだ。 …続きを読む