【カザン(ロシア西部)=佐々木正明】ユーラシア大陸の東西をつなぐ物流網で、ロシア政府が国家収入獲得の戦略インフラと位置づけるシベリア鉄道で、貨物輸送を依頼した日本などの業者が正規運賃以外に、「荷物を安全に送り届けるため」として「護衛料」の支払いを強制されていたことがわかった。日本政府は日露経済交流の阻害要因として、ロシア政府に正式に抗議を申し入れた。 露極東のウラジオストクとモスクワを結ぶ全長約9300キロのシベリア鉄道をめぐっては、近年、アジアと欧州をつなぐ大動脈として注目を集め、管理する国営ロシア鉄道が、貨物輸送の高速化に着手。日本政府も、海運以外の欧州への物流ルートを確保することは戦略的利益につながるとして、輸送網の整備について協力を表明してきた。 しかし、実際の運用面では問題点も多く、複雑な税関手続きや振動などによる荷物の破損の危険性、所要日数と運行の遅れなどが関係者から指摘されて