「うちも異物混入で苦しんだ。他人事に思えなかった」。山崎製パンの飯島延浩社長は品質管理面で不二家支援を決めた理由をこう説明する。 それを額面通りに受け取る関係者はいない。山崎製パンの7491億円ある売上高のうちおよそ半分を占める製パン事業は、国内で32%と圧倒的なシェアを占めており成長の余地は小さい。製菓事業を伸ばすほかないが、同社の弱みは菓子分野で強いブランドを持たないことだった。東ハトの買収と同じく、山崎製パンの狙いは「ペコちゃん」をはじめとする不二家の菓子ブランドだ。 製造技術に関して、山崎製パンが不二家に学ぶことはほとんどない。不二家の工場を視察した山崎製パンの関係者は驚きを隠さない。「想像以上にひどい。うちの基準では考えられない」。機械の隙間に汚れが詰まっている。原材料を管理する専門部署はなく、在庫管理もずさん。「何から手を着けていいのか、途方に暮れた」という。 リストラの受け皿