「アルミ缶の詩(うた)」。そんな名前の新聞を約10年にわたって書き続ける男性がいる。空き缶の買い取り価格の情報を集め、大阪市西成区のあいりん地区(釜ケ崎)で暮らす仲間に配る。きっかけは、空き缶集めをしていた友の死だ。 クリスマスを迎えた25日朝、ホームレスが野宿する「あいりん労働福祉センター」で、和田富夫さん(66)が刷りたての新聞を抱えて配り歩いていた。 A3判の紙を二つ折りにした4ページ。「はいアルミ缶ー、アルミ缶ー」と声をかけ、段ボールの上で布団をかぶる人や仕事を探しに来た人に手渡していく。 受け取った男性(67)は「アルミ缶買取価格表」に真っ先に目を通した。「わしらが生きるために大切な情報や。ありがたいわ」 和田さんは「この寒空の中、みんなアオカン(野宿)しながら空き缶集めを頑張っとる。ちょっとでも役に立てばええ」と言う。 岡山市に生まれ、29歳で釜ケ崎に行き着いた。詳しい身の上話