中国との連携を強め、米副大統領を罵倒したかと思えば、「トランプ大統領を内心評価してきた」と手のひら返し。その一方でロシアにも接近し……。金正恩・朝鮮労働党委員長のあからさまな「コウモリ外交」について、著述家の宇山卓栄氏は「強大な中華帝国に隷属し続けた朝鮮半島の過酷な歴史がその背景にある」と指摘する――。 大国の間を上手に飛び回りつつ、自国の生き残りを図るのは朝鮮半島の伝統だ――。平壌を訪問したロシアのラブロフ外相(左)と、笑顔で会話しながら歩く北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長。(写真=AFP/時事通信フォト) 米中ロの間を渡り歩く北朝鮮 『イソップ寓話』の中に、「卑怯なコウモリ」という一話があります。かつて、獣の一族と鳥の一族が戦争をしていました。両者の戦いを見ていたコウモリは、獣の一族が優勢な時、彼らに「私は全身に毛が生えているので、獣の仲間です」と言いました。鳥の一族が優勢になると、コウ