さて、今年もどうでもいい話から始まる。 少し前のことになるが、旧くからの友人とコンピュータ将棋の話になった。友人がそれほど詳しくない類の話である。私が「頑張って作っているんだけどなかなか上手くいかないんだよねえ」と言うと、友人は何かに気づいたように「そうなんだよねえ。コンピュータを強くしている人がいるんだよねえ。でも、なんだかコンピュータは勝手に強くなるイメージがあるんだよねえ」と言った。 友人のその感覚はおそらく普通のものであり、世の中の多くの人にとって「科学は進歩する」ものであり、「科学を進歩させている誰かの存在」を感じることはほとんどないのだろう。その友人は私の日記をずっと見ている人であり、私が日々科学(技術)を進歩させようと努力していることを知っているはずなのだが、それでもイメージとしては、「科学は勝手に進歩する」なのである。 似たようなことは他のあらゆる職業(特に抽象的なもの)に