「片道1時間以上の顧客とは取引しない」――。産業用自動機械の設計・製作を手掛けるスズキ機工(千葉県松戸市)の事業戦略だ。同社の鈴木豊社長が体験した「ある事件」をきっかけに始めたこの戦略。結果として同社の取引先は半減したが、売上高は4倍以上になった。「真面目に働いているのに、ちっとも利益が上がらない。誰かにその理由を教えてほしい」。そんな鈴木社長の悩みを一気に解決し、町工場の働き方改革にもつながった「距離」で取引先を絞る戦略とは。 「当社から片道1時間以上かかる場所にあるお客様からの仕事は、お引き受けしません」。産業用自動機械の設計・製作を手掛けるスズキ機工(千葉県松戸市)は、自社の事業戦略をこう掲げる。 車で1時間以上かかる企業からの仕事は丁重に断る。移動時間が1時間以内の顧客なら、密接な関係を構築することができ、ライバル企業の追随を許さない商品、サービスの提供が可能になる、というのが鈴木