民主党が打ち出す「社会保障と税の一体改革」は、社会保障を人質として消費税増税を企てるものだ。言葉は似ているが似て非なるものとして、世界では「社会保障と税の統合化」の流れがある。 そのルーツは、45年前、経済学者のミルトン・フリードマンが提唱した「負の所得税」である。所得税と公的扶助制度を組み合わせて、課税前所得が課税最低限を下回る者に対しては、その差額の一定割合だけマイナスの所得税、すなわち給付を行うというものだ。ただ、所得ゼロの者でもかなりの給付金を受けられることになるので、そのままでは実現しなかった。 「給付付き税額控除」はその思想を受け継ぎ、世界の流れになっている。政府・与党は消費税増税の際に低所得者に対して導入する方針だ。既に導入している国として、米国、カナダ、英国、フランス、アイルランド、ベルギー、ニュージーランドなどがある。 1975年、米国は、低所得層による労働供給を促